2019.10.10
Road to 10.17 vol.2 永水 豪(石川ミリオンスターズ)
スタミナのある選手は数多くいるだろう。しかし永水豪のスタミナは並大抵ではない。九回になっても球速が落ちない。最終回にその日の最速を記録することもあった。
さらに驚くのは回復力だ。今年、先発ローテーションを守り、その大半を中5日で投げ抜いた。5月から7月にかけては7試合連続で9回を投げ、そのうち3試合連続完封もあった。
リーグトップの155投球回、2417球は、そのスタミナと回復力の証しでもある。
そのわけは、「自分の体の声を聞ける」ことにある。自身の状態を的確に把握し、どこのどの部分をどのようにトレーニングすればいいのか、わかるようになった。片田敬太郎フィジカル&コンディショニングコーチのアドバイスに加え、自ら勉強し、見識を深めたことによる。
体の声に従ってトレーニング内容や量を加減でき、体のケアも人任せではなく、できうる限り自分で行なう。
昨年はNPBなど考えられるレベルではなかったと、冷静に自己分析する。しかしエースとしてスタートした今年はチームの勝利のために投げ、その中で己にレベルアップを求めた。そうしてNPBを目指せるだけの力をつけていった。
試合ごとに投げては課題を見つけ、それを克服しては次の試合に向かう。その繰り返しが、これまで見たこともない景色を自身に見せてくれた。
苦しめば苦しむほど、野球が好きになった。もっともっといいピッチングがしたいと、より研究を重ねていった。
リーグトップの8完投、同3位の125奪三振、同4位タイの11勝(5敗)、そして同7位の防御率2.21は、いずれも胸を張れる成績だ。
だが、もちろんこれで満足はしていない。すでに永水は、さらなる伸びしろを自分の中に見つけている。
もっとこうすればスピードが上がるんじゃないか、もっとこのように体を使えばキレがよくなるんじゃないか…などと、その探求心はとどまるところを知らない。
それをさらに上のステージで実践できることを願っている。
文/土井 麻由実