2019.10.10
Road to 10.17 vol.1 加藤 壮太(埼玉武蔵ヒートベアーズ)
ガッシリとした体格、それでいて足も速い。さらには笑顔まで素敵なのが、埼玉武蔵ヒートベアーズの3年目・加藤壮太外野手である。
加藤は名門・中京高校(現・中京学院大中京)でレギュラーとして活躍。3年時には全国校野球選手権大会にも「2番・中堅」で出場を果たし、7打数3安打2打点と結果を残している。4番には今井順之助(現・日本ハム)が座っていた。
優勝には手が届かなかったものの加藤は、「甲子園では最初から最後まで楽しめましたよ」と悲壮感は微塵もない。
しかしその後の進路では悩みに悩んだという。それはプロ志望届を提出した日付からも窺いしれる。チームメートだった今井から3週間ほど提出が遅いのである。そこを尋ねると「悩みましたね。いろいろなところに相談しました。大学も決まってましたし。でも、今思えば根本的に実力不足でした。プロ(NPB)に行けなくてあたりまえでしたね」と冷静に振り返る。
2016年のドラフト会議では涙を飲んだ加藤は、翌年からルートインBCリーグでプレーすることになる。
当然ではあるが、そこには高校との違いがあった。「BCでは全員が『NPBに行きたい』という思いを持ってます。(中京高校は)強豪校といっても、そこは高校なんで全員が上を目指しているわけじゃなかったです」と加藤は言う。強豪校でも部員の意識には差があったわけだ。
厳しい環境に身を置いて3年。加藤は大きく成長している。とくに今シーズンの成績は飛躍的に伸びた。
その理由は技術面ではないという。「もちろん技術は成長しました。でもそれ以上に考え方、メンタル面が大きいです。失敗した後にすぐ切り替えができるようになったことで調子の波がなくなり、成績が向上したんだと思います」とのこと。
9月下旬に行われたNPBとの交流戦でも手応えを掴んだ。
加藤は「強い打球を打てましたし、守備・走塁でもアピールできたかなと。育成でも(NPBに)行きます。今まで応援してくださった方のためにもNPBに入って恩返しをしたいですね」と力強く、そして笑顔で楽しそうに語ってくれた。
甲子園という大舞台ですら楽しんでいた加藤は今も野球を楽しんでいる。
文/勝田 聡
写真/吉岡 泰良